みこもかる通信~web版~ 第3回 カビとの共存と対策

みこもかる通信~web版~

第3回 カビとの共存と対策

過去ブログ一覧

熱い季節はもうすぐ終わりですが、雨が多く湿度が高い日が続いています。そしてジメジメした場所に生えてくるのが“カビ”です。日々悩まされている方も多くいると思います。。。しかしカビと人間はどうしても切り離せない存在なのです!カビとは何なのか、そこからご説明したいと思います。

~カビとは~
 カビは、真菌という生物群の中に位置しています。微生物として細菌やウィルスと混同されがちですが、真菌と細菌とウィルスは全く違います。真菌は核膜(DNAを包む膜)を持ち、真核生物に分類されます。ちなみに人間(動物)真菌も、同じ真核生物です。人間の細胞と真菌の細胞は非常に似た構造をしており、人間と真菌は分類学上近い存在です。

          系統樹(簡略図)

~カビの仲間の役立つ人たち~
真菌は私たちの身の回りの環境に必ず存在しており、未知の菌は100万種を超えるそうです。今までに発見されている菌種は7万種以上で、菌種によって酵母・きのこ・カビと呼ばれています。

  • 酵母
     ワインやパン作りに使われているのが酵母で、単細胞で存在しています。酵母は糖を分解する過程で炭酸ガスとアルコールを作り出します。その他には紅茶・漬物等を作る工程でも酵母は働いていてくれています。人間の食卓に酵母は欠かせませんね!
  • きのこ
     次にきのこについてですが、これらは多細胞で形成されており、胞子を飛ばして増殖します。私たちがきのことして食べている部分は子実体といい、胞子を作るための部分で菌糸の塊です。カビときのこの違いは、この子実体が目に見えるほど大きくなるかならないか程度の違いしかありません。
  • カビ

    役立っている種類も存在します。日本酒や味噌造りに欠かせない麹は、カビの仲間の麹菌が使われています。麹菌は日本周辺の東アジ アにしか存在しておらず、日本の“国菌”に認定されています。麹菌が無かったら日本の醸造文化はここまで発展しなかっただろうと言われています。また、抗生物質の起源であるペニシリンは、青カビ培養液の中から発見されました。

~カビ対策~
 これまで人間に役立つカビの仲間を紹介してきましたが、カビは完全に無害であるわけではではありません。少量のカビと接触しただけでは人体に害ありませんが、免疫力が低い状態だと感染症を引き起こしたり、カビの種類によってはカビ毒を作り出し人体に悪影響を及ぼすこともあります。
 種類によってはアルコールに耐性があり、80℃でも死なないカビが存在します。日常生活で身の回りのカビをゼロにすることは非常に難しいのです。。。そのため、カビをいかに増やさないかが重要になってきます!

カビが好む条件
① 埃や汚れがある
② 湿度が75%以上ある
③ 気温15℃~30
④ 日光が当たらず、空気が滞留している

この条件が揃うとカビが増殖してしまいます。逆にこの条件を揃えないことがカビの増殖を抑える方法です。また、塩素剤による消毒も有効です。

 長野県薬剤師会検査センターは、真菌定性試験(真菌が居るか居ないかの試験)・真菌の同定試験(真菌の種類の判定)を承っております!カビの種類の同定には、遺伝子解析法や、形態的特徴を観察して判別する方法があります。カビの形態的特徴は、菌糸の先端に形成される“分生子”に現れます。培養したカビを顕微鏡で観察し、その特徴からカビの種類と推定します。カビについて気になった方は長野県薬剤師会検査センターまでお問い合わせください!

クロカビ(Cladosporium属)分生子
クロカビ(Cladosporium属)分生子

                                              ねこ好き研究員 ねこ田